フィリピンの民族楽器・トガトンは小学校の音楽の授業でも活用されている竹の楽器です。
硬い地面(コンクリなど)の上や、石で竹筒の底を打つと、1メートル以上ある太くて大きな竹筒や、30~40センチの竹筒から誰でも簡単に美しい音を生み出すことが出来る優れた楽器なのです。
参加者が8呼間(6呼間でもいい)の何処で1回打つかなどのパターンを繰り返すことの応用から、結構複雑な音楽を生み出すことが出来るのです。
そこでトガトンを打楽器のアンサンブルと考える人が多いのですが、実は「メロディー楽器」で、打楽器的な表現が優先されているわけではないのです。この楽器の面白さはメロディーをみんなで生み出せるところが素晴らしいのです。
人は一つか(両手を使うと)二つの音しか、一つのトガトンからは音が出せません。しかし、そこにはビートがあり、仲間の音と重なる響きがあって、単音でも仲間とメロディーを紡ぎあって歌い始めることができるのです。ピアノやフルートとも共通するメロディー楽器になっているのです。そこを聴き出せるかどうかが、音楽づくりの核心部なのですが・・・
文化会館での社会的な音楽活動でも応用が可能で、素晴らしい音楽づくりや仲間づくりができるはずでしたが、その指導を託すひとも、参加される人びとも、メロディーが聴き取れないでいました。だから全国の何処かで「トガトン楽団」やアンサンブルを楽しむチームが生まれなかったようです。
説明し、実演し、実際に私も加わって演奏して楽しんでもらっても、次にはつながらない世界でした。これから私が再度その種のワークショップを展開して、多くの人びとに楽しんでもらえると宜しいのでしょうが、もう私の役目は終わったようです。竹に限らず、大自然に鳴り響く様ざまな音たちが自然に歌っている世界を、他人と共有するよりも、黙って聴いていた方がいい、というのが私への天の声だったようです。