Youtubeで NHK大河ドラマのテーマ曲を見聞きすることができる。私がお手伝いさせていただいた‘80年放映「獅子の時代」は、ロックバンドと N響が初めてコラボした演奏と評価されていた。

  ‘ 79年秋、私はギリシャのヘロドアティコで、国際現代音楽祭入選作品のオーケストラ作品の初演に立ち合い、帰国後直ぐに紹介された仕事だった。
 ロックバンドの演奏は出来ていた。リズムと主旋律、ベース・ギターを含むコードも完成していた。普通はそれがバンドの作品サンプルで、バンドとオーケストラが同時に演奏して完成させるものだと誰もが思ったが、そのバンド演奏にオーケストラが後で加わり、同時に演奏した作品にする、という企画だった。そこで「三管編成※」のオーケストラとポップスができるひと、ということで私に役が回って来たようだった。

 ベースはボレロだった。ところがポップスのひとが感じるノリとクラシックのひととは違うところに戸惑いがあった。オーケストラのメンバーが合わせてくれた。
 ベースから各楽器の対旋律まで全部の楽器が良く鳴るように私は書き加えた。そして幾つかのポイントは、編集ボタンの瞬間操作でミックスした。失敗したら第一回の放映に間に合わなくなる、というスリルのなかで(故)小松一彦氏・楽団全員・音声(技術)さんの一致団結で完成させた・・・45年前のことを思い出させてくれた。

 ※「三管編成」=古典派時代の編成より管が基本三本ずつに増え、打楽器群・ハープなども加わった大規模なオーケストラ編成のこと