91年に現代音楽の作曲家団体「日本現代音楽協会」が創立60周年を迎え、その記念に国際的な規模の演奏会を含む『東京現代音楽祭』が開催された。
音楽の様々な領域を拡大して、子どもから大人まで、アマチュアとプロの音楽家、新しい音楽領域の結びつきなどを掲げて、一ヶ月程の大会で大きな成果を上げた企画があった。
現代音楽協会会員作品を含む世界の作曲家の新作を、ジュニア・オーケストラとプロのオーケストラによる演奏会「響楽(きょうがく)」、その吹奏楽版の「吹楽(すいがく)」、同合唱版の「唱楽(しょうがく)」、世界の子どもの創造的な音楽活動やそれに関する演奏会・シンポジウム・ワークショップなどの「童楽(どうがく)」、コンピューターが加わった新作演奏会「電楽(でんがく)」、そして現代音楽作品を課題曲とした演奏家の登竜門「競楽(競楽)」があった。
競楽では朝日新聞社と提携した「朝日現代音楽賞」が、その後四半世紀に亘って若い優れた演奏家に贈られ、日本の音楽界に大きく貢献した。大会会長は故・三善 晃先生で、大会プロデューサー兼事務局長は私が引き受けて、約一ヶ月開催された。それは作曲家団体のコンセプトを変えるほどの画期的な企画となり「音楽之友社賞」もいただいた。
その競楽の創設は、自分の弟子の育成からは外れた業績になると思われるが、しかし受賞者も知らない私なりの「次世代育成」として、密かに誇りに思っている。
そこで表彰されて羽ばたいて行く人びとのコンサートに伺うと、他の企画とは別の嬉しさが湧き上がる。
次回、その種類の演奏会からレポートさせていただく。