この頃、喫茶店や公共施設のロビー(市役所の昼休みのロビーなど)で演奏会が企画されることが多い。演奏者のお喋りも上手い。通りすがりの人が気楽に聴ける時代だ。私たちも東京タワーで、通りすがりの人びとも楽しめる演奏会を企画して来た。
演奏家は、出来るだけ多くの人びとに聴いて欲しい。(ホントは)無料でもいい。しかしハナからタダで演奏しろ、と言われてはプライドがあって嫌だ。でもステージがあれば出たいし、褒めてもらいたい(拍手が何より嬉しい)・・・そこを理解して企画を進めていただければ、演奏者の、地域の財産になるのだが、結構演奏者との交渉は難しい。
古民家でコンサートが開催される企画が全国の其処彼処で見受けられるようになった。観客の差し入れ・持ち寄りのお茶菓子で演奏の合間に人びとの交流が湧き上がる。
静岡の古民家に伺ったことがあった。村の人びとが時間になると車で集まって来る。
音大関係の出身者が見事な声楽アンサンブルを聴かせる。一方、ピアノを習って半年だという体育の先生が間違え、止まりながらも引き続ける。終わると暖かい拍手に包まれる。主宰の好調(校長?)先生が得々と喋る。奇妙な手作りコンサートに出会った。これも地域文化の振興なのだろうと思った。
音楽を学んだ人びとは、数名の聴衆から始めたこの種のコンサートが、自身の音楽活動の原点になっていることが良く見受けられる。そこに秘密があるのだろう。