サロンコンサートの成否の鍵は「開かれているか」どうかにある。プライベートな企画は資金の裏付けからして簡単明瞭だ。主宰者と客の関係で成果は決まる。
医院の先生がポケットマネーで演奏家を集め、仲間や近所の人を集めて演奏会を開催した時期が松戸市であった。サロンコンサートといっても立派な音楽会だ。しかし主宰者と先生仲間、先生と演奏家は口をきくが、そこから会場の仲間と口をきくことは無かった。
どんどんプライベート化していって、音楽を愛する仲間が増えることは無かった。
大都市から離れた医療施設で、街の人びとが集まって音楽を楽しむスペースもあると聞いている。その主宰者は知っている先生だが、私は直接会場に伺ったことはないので、不確かなことは記せないでいるが、地域の人びとに愛されているということは、人びとの心も演奏する人びともパブリックなのだと思う。
音楽の修行はプライベートな厳しさがあるが、人びとと共有する音楽のひろばでは、お金の問題は別にしてパブリックな心がないと拡がらないのが現実だとも思っている。