50年ほど前、拙作のなかに図形楽譜の作品が幾つかあった。
本 Web サイトの表紙の一部なっているが、ヴァイオリン・ソロの「スカイ・プロズム」と、ハープのための「リンの詩(うた)」がその例だ。
「スカイ・プリズム」は、その名の通りプリズムを回すことによりまれる音たちを、演奏家が即興で感じ取り、表現していく音楽だ。
プリズムだから三角錐の中に音たちが、ちょうど宇宙の星のように浮かんでいて、それが三角の面が回ることによって、星たちの存在が変化していく仕組みになっている。
三角だから一つの時間軸をドレミのド、もう一つを5度上のソ、最後の軸を更に5度上のレに設定すると、ドとソの面から見た星たちが浮かんでくる。しかし次の面、ソとレの面から見ると、同じ音たちが違う音の場所にいることになる。またドとオクターブ上のレの面を見ると、また代わったポジッションの音の存在に気がつく。「仮想空間」の音との交流がそこにはある。音楽の三次元の創造に於ける表現だったが、半世紀たっても誰からも理解してもらっていない。埋没したママか、眠ったママか、とにかく拙作の一番の自信作だが、なんの評価もされないママ時が過ぎて行った。
子どもの「音楽づくり」など最適だと思うのだが、この仕組みを理解していただくことは、なかなか難しいようだ。
なお、文中の拙作が二曲入った CD はフォンテックから発売されている。
<FOCD2570>