音楽、校門を出でず、という言葉があった。今はポップスでも教室に入り、習った歌も校門から出て行くこともある。児童・生徒にはそれぞれ好きな歌手や歌がある。それを教室で学び、みんなと共有することに不思議な感覚を持つこともある。また一方的に勉強させられる歌に共感を持つことも大変だ。

 学習指導要領があり、何をどう教えるか決められている。それに合った教材はなかなか無い。畢竟、編集部員がペンネームで狙いにあった歌をつくることにもなる。それを「猫なで声でつくるのではなく」と私が評してヒンシュクを買ったことがあった。

 もう学校で教わらなくても社会にはひとそれぞれが愛する音楽があるからいらないのではないか、と平気で言う学識経験者がいる。音楽の大切さは誰もが知っているから、わざわざ教室で学ばなくても、という意見だが、学校で取り上げる学習という概念とシステムを忘れるとどうなるかを、私たちは知らなければいけない。

 いい歌は校門の内外に多数ある。出入り自由だ。社会でヒットするかだけでなく、どんなハンディがあっても自分たちでつくった音楽が校門を行き来するようにもなると、生きた音楽の社会との交流にもなって行くと思う。