故・矢代先生とは東京文化会館の階段でお逢いしたのが強烈な印象を持っていた・・・「あなたの音楽を私は支持します」と真剣な顔で仰ってくださったが、直ぐ後で亡くなられてしまった。
反対に、雪の降る有楽町の街角で私と言い争いをした作曲家の先生がおられた。「キミ、音楽は結局メロディーだよ」という意見に、私は一面的なコンセプトに反対意見の喧嘩を売った論争だった。
コンテンポラリーの発想では、メロディーそのものも従来とは違う切り口を若い人びとは求めていたからだ。
でもその人「松村禎三」は名曲を数多く残しているが、「ピアノ協奏曲」(1番と2番がある)のドローンには参ってしまった。ドローン<低音の持続音>の上ではピアノだけでなく、オケの様々な楽器がつむぎ合って歌を広げていく。
これまた誰にでも分かりやすいし、民族音楽にもあるように音楽の基を成しているし、既に教材化されているほどのスタンダードな構造なのだ。これは子どもにも理解できるし、この曲を参考に「音楽づくり」も可能なのだ。凄いと思った。
なかなか再演されることが少ないが、でもこの曲は何時迄も人びとに松村先生の信じるメロディーの基が紡ぎ出されていくように思った。