ひとは簡単なことができないことがある。演劇でもアマチュアは簡単な仕草ができない壁がある。プロは難しいことも簡単に演じてみせる。ちょっとしたことの差はとてつもなく深くて広い。
昔、ベートーヴェンが偉いのは第九(合唱)などの交響曲や協奏曲などの大作が素晴らしいだけでなく「エリーゼのために」のような曲があるから凄いと雑誌に書いたことがあった。ヒット曲や名曲は簡単なことから始まっている。もちろん簡単にヒットするわけではない。創るひとに百の力があると、力まない数%の力で千の世界を伝えてしまう力が凄いのだ。アマチュアの人が書くと、頑張ってみても目も当てられない幼稚な音楽になることが多い。いや軽蔑して言っているのではない。誰でも最初はアマチュアなのだが、力まない秘めた力を自在に活用できる所までに至っていることが凄いことだと思っている。簡単なことができるということは、その人の実力内の余裕から生まれてきているようにも思える。
そういえば、歳をとると簡単なことができなくなっていくようです。アマチュア化していくということでしょう。しかし全てはそこから始まったと思ったら、基本に戻っただけで、それも楽しみにするのがいいと思っている。