コンテンポラリーは情報収集とその分析から生まれる。突然作曲者がいいメロディーが浮かんだり、感情の抑揚だけで生まれるものではない。
過去の偉人諸氏がどう表現したか、それまでの音楽との差異性により積み上げられた世界から生まれてくるものだ。恋愛することにより、または悲しみのドン底から這い上がるエネルギーにより生まれた、とは少々異なっている。
時代劇の小説を書くにあたり、たくさんの資料を収集・分析していくうちに登場する人物が話し始める、その背景も映像が浮かび上がるというように、自然に見えてくるのと同じで、作者に音が聞こえてくるのを書き留めているのだ。
それだけでは人びとに分かりづらいかもしれないので、ストーリーを提供することもある。それが面白いとストーリーの方だけ一人歩きすることもあるが、
実際は他者との小さな差異性から生まれてくることが多い。昔も今も同じことを、しかし誰も言っていなかった僅かな隙間から、作者は音を聞き取っているようだ。