<コンステレーションⅡ>百本の木管群とコントラバス群と打楽器群のために

71年作、同年秋に東京音楽大学で初演。72年東京・青山のホールで再演。

 演奏場所の中央にコントラバスが輪になって向き合い演奏。そこから打楽器奏者が螺旋状に拡がった位置で金属片・トライアングルなどで傍を通過する奏者と単音で応答。木管奏者(フルート・クラリネットが主で、他にオーボエやファゴットなど計約百名)が中央からゆっくり遠方に奏者が聴き合って交流出来る距離までゆっくりとした歩調で拡がり、また中央に戻ってくる約30分の音楽。コントラバスと木管群は、近い奏者と聴き合う音の反応をロングトーンの弱音で、短2°や長7°などのハウリングが起こる音により交流する。

 [ギネスブックに載りそうな演奏として]・・・公開演奏に於ける多数の警察官に追われた作品
 ホールの庭に全演奏者が集まり演奏開始。パイプオルガンの鍵盤を、両手でなで回しながら押さえたような音が庭から立ち上り、風にも流されてホールの建物からもにじみ出した・・・回りのマンションや家々の窓が開いて会場を見つめ始めた。5分も経たないうちに会場にクレームの電話と110番通報が殺到した。青山一丁目からと赤坂見附の交番から警察官が自転車で到着した。道路から公園の方にまで拡がった演奏家の音たちは不思議な世界を醸し出していた。そこにパトカーのサイレンが遠くから加わってくる。ウ〜〜〜ッというサイレンの音が演奏に加わって、ホール玄関に警視庁のパトカーが停まった。主催者と本作品の責任者を出せ、と5〜6名の警察官と主催者の押し問答になった。一歩ホールに入ると裸の女性がボディーペインティングで表現中だ。ややこしいことになるので平謝りしながら「芸術の発表です」と主催者が防波堤を築いてくれた。やがて演奏家が元の庭に戻ってきて、静かに演奏が終わった・・・騒音防止条例、道路交通法、無届けデモ行為、軽犯罪法などの違反云の疑いがあったようだが、警察官に追われながらの作品上演はかつてなかったようだ。