ピアノ デュオ ドゥオール(藤井隆史&白水芳枝)の演奏会を東京文化会館小ホールで聴いた。6月15日(火)に昼夜二回ある方のマチネーの部だった。競楽で知り合った演奏家だが、コンクール参加歴は国内外の実績を既にお持ちのようだ。現代曲ではなく、ラフマニノフやボロディン、そしてサンサーンスの「動物の謝肉祭」で、二台ピアノと連弾により約80分、休憩無しでアンコールを含め連続で演奏されていた。
夫妻でピアノの演奏家というのは大変だと思われる。音楽を語り、表現すると、意見の一致や共通の美の世界に収斂することが多いからだ。ところが4手の演奏でも相手と音楽的な闘いがある。意見が異なり壊し合う世界もあるだろう。簡単に丸くならない音楽が面白いからだが、人間関係が壊れてしまっては本末転倒になってしまう怖さもあるだろう。
音が洗練されていて美しい響きを放っていた。そして簡単なフレーズではクラシック音楽の演奏家独特なアゴーギク。すらりと弾いてもいいと思いながら、お弟子さんに伝える語り口もそこから伺えて面白かった。
「動物の謝肉祭」では二人が谷川俊太郎氏の「動物たちのカーニバル」の詩による朗読も加味させた熱演を見せていた。しかし音楽を物語と合わせると子どもにでも分かりやすいと思ってのこともあるのだろうが、今の小学校の音楽室では先生がたが子どもに指導しない方法だ。
クラシック音楽から現代音楽とレパートリーは広いが、安らぎの世界に入っていくよりアグレッシブな世界へ挑戦してくださることも期待したい。