半世紀前には考えられなかったステージが全国で展開している。小中高生を中心としたオーケストラが各地で育っていて、その成果が評価され始めていることだ。全国のそれらの団体の多くを私は拝聴して来ている。

 四半世紀前でも、オーケストラに準じた音楽団体が生まれていたが、まだ微笑ましいアマチュア団体というレヴェルだったように思われる。そこから育った子どもが世界を闊歩する実績になった人もいたが、そこで習得した技術のクセがその後の才能を閉ざしてしまったこともあったようだ。

 今は違う。プロの、しかも一流オーケストラの主席奏者の指導チームが直接子どもを指導している団体が増えた。ママごとから発展した大人と同じような音楽のコピーがステージに拡がっている。そこに賞賛はあっても文句は無い。それはステージの披露を踏襲した成果の表れだが、演奏も出来ない子どもとの共有に向かう手だても残しておかなければいけないような気がしている。鹿鳴館の時代ではないのだから。しかし、指導者にそのヴィジョンがないので、なかなか新たな音楽の共有が、技術を持たない人びとと出来ないでいる。 SDGsの時代、その手だてはすでに学校や社会でも実績が積まれていて、これからの半世紀に楽しみが拡がって行くように思われる。演奏指導者はそこが今後の課題となっていくように思われる。